ワタナベさん/道草次郎
 
ンティア便りという何百通ものチラシの整理をする、というボランティアをしていた。ボランティアのためのボランティアである。何かのいきさつで、ある時、ぼくもそれを手伝うことがあった。

ワタナベさんは19歳の子に対してとても丁寧な態度で接し、その子もワタナベさんに対していつも丁寧な言葉で応えていた。部外者のぼくがいきなり割り込んでその辺をうろうろし始めても、2人は自分たちに与えられた作業をどこまでも坦々とこなしていた。

しばらく休憩することになり、ソファーに腰掛けてお茶を飲むことになった。ぼくのちょうど真向かいにワタナベさん、横に19歳の子が座った。ぼくは自分が今やっている自助グループのこと、
[次のページ]
戻る   Point(2)