空耳/そらの珊瑚
雨が開けたかのようなまぶしい光にまみれている。
作物を育てていないからか、梅雨明けが遅いか早いかにはあまり関心を持ってこなかった。あれは意味のないちょっとした挨拶なのだと思っていた。
けれど今、空耳がさらに空耳に変換されて「梅雨が開けることはありません」という言葉になることを怖れている。
正午の光があまりにまぶしくて瞼を閉める。架空の底無し沼に沈んでいくような、現実の眠気の中に背中から落ちていく。たぶんまた私は間違うだろうから願わくば楽しい空耳を下さい。
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