ルート19号の幻想/道草次郎
 
人かの人たちとたぶん人並みにまみえたけれど、適応する事がうまくできなかったように思う。

時には馬鹿みたいに深夜の県道を走ってみたり、ボランティアの大学生に自作の詩なんかを朗読したり、女の子を部屋に誘うチャンスを逃して倫理学の本を図書館に借りに行ったり、セブンイレブンに落ちたり、成り上がりの就活マネージャーの若い男を嫌いになったり、炎天下で脱水症になったり、地球サークルという子供の発達支援のキャンプに挫折したり、男友達の四畳半の部屋で星新一の短編を読んで一日過ごしたり、絶望したり、こっそり自慰をしたりまたそれに飽きたり、ほとんど思い出という思い出を思い出す術すら知らず、失職と面接と残高に怯えて
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