みのかわはいで/あらい
爆心地までの距離は手を離せば届きそうな天と点に近い間となっている。高い山肌の頂に燃える炎が燻り焦がしていく、その新しき陽の、陰に隠れた真新しい心臓を抜かれた夥しい遺体を見た。
渋滞するバイパスへ続く銘々樹海の園、表には飽きのこないひなげしの花畑と誰かが埋もれたような曼珠沙華、奥には竹林が鬱蒼と。触り触りと鳥の肌撫ぜ浸けるような、今、かぐや姫の満ち足りた月が熟れていた。
滲み出す漆黒の星空を洩らしては蕩けゆく盆の月。空は白々しく開けていく、そうして天の道は厳かに海岸線を創り出し魅せた。
ほど止る熱波が地を焼くように皆を呑み込んで魂の器は決壊し血の底から溶岩を吹き出させる。断
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