満月の夜/道草次郎
誰が見てなくても
少しだけしっかりやろう
今夜は違うんだ
僕は姿勢をいつもより正して椅子に座ってる
君からの電話はいつくるんだろう
今夜は気持ちが少しだけ落ち着いてる
目もつむってる
深呼吸も忘れない
月明かりの下の湖に浮かぶボートのように
僕は
落ち着いている
じつは
一つも良い話なんてないんだ
でもそれを正直に言う必要なんてない
うん
今までと同じ間違い同じ事の繰り返し
そうかもしれない
でも今夜は君と言い争いたくない
なぜって
きっと同じ満月を
君も見てるから
君は
相変わらず困ってて
誰かにすがりたくて
すぐ涙
[次のページ]
戻る 編 削 Point(5)