蛟 (みつち)/あらい
 
天を貫く古山の欲深き、
肢の尽いた朧げな光の燻ること、そぞろ
御堂の段を少しずつ崩す道程は、
陰が拒んでは床が亡く、黒煙

これが鬼であるなら、
救いを求めて喰らうであろうが、
無念にも
義足の蛇、
がじゃがじゃと喚くばかりで、
涙も零れない有様だった

下手の予感が描いた文は
庭に捨てられた徒花の枯れて逝くものを
すらすらと闇に突き落とす、
鳥の羽搏きは明日に満ち足りずに。

美しく泳ぎ憑かれるなら楽であろうが、
ならば散らすと輝きを用い
巣食っているものは心の内側を這いずり廻る、
夢と希望を抱く世だ

優しく易しく、棲みついているのが、
水槽に産卵
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