無題/道草次郎
「がんばってるがんばってるって、それは知ってるよ」
君はぼくに何度そう言っただろう
ぼくも
君も
お互いいっぱいいっぱいだった
けれど生きていくには
相手に甘えないとだめだった
弱いけれど
強くなることを見込んで
お互い相手にたくさんの投資をした
不良債権だけが残ったけれど
ぼくはぼくの目で君を見て
君は君の目でぼくを見た
それを入れ換えてみようとお互い何度したかわからない
けれどうまくいかなかった
判ったのはぼくがここにいる時
君はここにはいられないという事
君に失望され
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