あの日/道草次郎
夕飯の後の食器洗いは
いつもぼくの役目だったね
陽気なリズムの音楽に合わせてササッと、そうだな…例えばアメリカのホームビデオでお調子者のパパがウケ狙いでやるような感じが理想だったけど
けど、現実は真逆。その背中には義務の重たげな翼を生やしてた
歯を磨いて戻ってきた君はお決まりのありがとうを言う
それから少しして、君の部屋から見もしないバライティ番組の音が聴こえてくる
あの日、外では雪が音も無くしんしんと降っていた
君は半分あいた扉の向こうから、ぼくに色々の大切な話をしたね
色々の大切な話
そう、産まれてくる子供の学資の事やオムツの種類、ベビ
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