黄金挽肉炒飯殺人事件/墨晶
ゃないか?
さり気なく置かれた金色の液体は、広がる闇の荒野の果てに踊る狐火を見るような衝撃だった。
「要するに、先輩はマズくても黙って喰うのが『大人』だと勘違いしてるんですよ。大人しい消費者でいることに甘んじているのが快感なんだ。それより、先輩はこの味どう思ってるんですか?」
「俺はこれもアリだと思ったが。心臓病リスクを考慮すれば、薄味は好ましい」
「なーるほど、取るに足らない美点を持ち出して、大きな錯誤を無視する。そう云うことですか」
─ なんて稚拙な考えなんだ。なんだ、もう僕が勝ったも同然じゃないか。
「わかりました。それじゃ僕が先輩の分も代弁して、抗議しまし
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