わたしたちの告白/星染
過ごす時間に一つ一つ、ふせんを挟んで名前をつけて、たまに見返さないと思い出せない記憶の塊、あなたは、わたしのことを愛せていたのかなわたしは、あなたのことを愛していたのかな 教えてくれるかな、証明の数式、原稿用紙の反省文、暗記項目、言えるかな、わたしたちの、わたしたちの告白
作った映画のエンドロールに名前が載らないことを、ずっと気にしていたあの子も、一度は屋上に、夜空にひらめく踏切の赤い光に、生白くひかる錠剤の眩しさに、夢を見たことがあったのね 回した腕が震えていたこと、太腿の赤い傷のこと あなたは、私が憶えているから安心して、全てを忘れていいんだよ
マグカップを割っていつも思い出すあな
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