給料日/道草次郎
 
蒸かしたジャガイモにつけるマヨネーズを片手に持っていた

ぼくの脳内で補正された7000円はしゃぶしゃぶによってすでに4000円を切っていたけれど、今夜のこの食卓できっとぼくは君の好きな、とにかく君の好きだった水族館へ行くための原資を確保した事をそれとなく君にチラつかせただろう。

君はきっと喜んでくれて。

ぼくはもっと君の笑顔がみたかった
だからコンビニでは下ろせない数百円の端数をこっそりわざわざ銀行の窓口でおろして、行きのコンビニで二人でつまむから揚げを買った

君はぼくと暮らして
たくさんのから揚げを食べたけれど
そんな事
君はとっくに忘れてしまったのかな
それともよく覚えてるのかな
まあそんな事どうだっていいのかな

君がぼくの前で泣いて憎しみの眼を向けた時
ぼくは死にたいとねがい
それと同時にもう一度君を幸せにしたいともねがった
それをもう君に伝える術はない

あの給料日の日
ぼくは7000円の幸せな男で
君はハンバーグを作ってくれた
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