6月の日記/印あかり
 
6/1
古いカメラのように瞬きをすると
紫陽花から滴る雨粒が
カリッ、と網膜に光の線を引く

6/2
すれ違う人の柔軟剤の香りにときめいて
振り返ると、彼女の背中に
斑点だらけの黒ずんだ心が透けているのに気づく

6/3
BOOK・OFFの100円コーナーに
恋人と読んだ絵本があった
ただの切り株になるまで
わたしのために尽くさないでね、って
思うのだけど
実や枝や幹くらい惜しくないなあ

6/4
小さい頃集めていたあれが
「石英」というただの石だと知ったのはいつだろう
怒ってばかりのお母さんが
そういう病気だと知ったのはいつだろう

6/5
赤ち
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