虚脱/あらい
 
ことも厭わず踏み抜かれた血は拡がり、足早に孤影だけが波紋と魅せた、あなたは鳥に等しく。
 
 あなたは私であり、私はあなたである、決して色は見せません。
 おやすみになられて、はやばや 奈落へと落ちましょう。
 
 また明日も私から剥離していく衝動と記憶が作り出す 忌々しい未来を、過去にくるんでくれるのでしょう。戻れないだけの愛を溢れるほどに、この手で掴んで 離したくもないから、語ることもないから。
 
 その喉を絞め殺して泣かぬように哭かぬように。
 白き装束に描かれる、一途に ひたむきに 披瀝ヒレキして、そのうち泡の聲を望て 消え失せる。
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