病床信仰製蓄音機/あらい
 
早く留めて欲しい、白影の微笑みを抱いて
モノクロのジェットコースターは滑りこんでいく。
この鈍い心臓が鼓動をいろめかし 耀かす光をひとのみにする
蜃気楼のオアシスとごっこ遊び、磨るみたいに助けてください。
叫んでもいいだろうか 喚いてもいいだろうか。
今更、気づいてしまったけど、ここにはもう戻ってこれない

ガタが来た躰は一定の速度を落とし、その内、
声をかけても手を差し伸べても、
一切の音色も零さず反応を示さなくなる。

色眼鏡の友情と壊れた真空管のゆらめきの奥に、誰がいるのか
摩耗した沖に繋がれた最新のオシロスコープすら歌に靡かない、
柔らかな風だけが、今今と殺そうとする。
何処にもいない私のうちがわを活かすことができるように、

そこに横たわる君に恋をした。
一生一緒に交わらない視線を結ぶこと、
協調性の欠ける仮想空間に響く小鳥の残響
病床信仰製蓄音機 ≠ 徒花を彼方に
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