詼/あらい
誰かが亡くなったのだろうか、教会の鐘が鳴り響いていた。
その何かを喰らう黒い鴉があなたの肩に止まった時に、ガタガタガタガタと鳴る黒い穀潰しの木々にぶら下がる嘗ての遺体が、果たして誰のものだったかなんて、指摘する者ももう既にいないというのに。
闇はやさしく、全てを覆い隠して朝になれば燃ゆるほどの空が全てを赤く染めて杯に返してくれるのだろう。飲み干してしまいればいいのに。灰だけがお道化るばかり。
さようなら愛おしい私の御神体。
この博物館は私が産み落としたもので満たされている。
訪問者は誰もいないが過去を売り払い合えばいくらでも命は排出されて、特に記憶を束ねる針金虫など
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