ソファで夢みるように三月のわたしは鍵をあけた/かんな
 
三ヵ月前に母に送ったてがみをゴミ箱に捨てた
いま、どれほどの痛みに横たわったのか
いくつかの記憶にいくつかの窓、いくらかの空といきばのない言葉
ぽっかりと浮かぶ月からあふれ出した涙と
「助けて」が空中分解をくりかえす

天空の城ラピュタのムスカならいったのかもしれない
こころがゴミのようだ。捨ててしまえれば楽だ
おまえは誰だ。死んでいけるほど強くもないんだろう
生きていけば夕暮れにながした涙の跡など
湿り気を帯びた夜の空気と寝室のドアの閉まる重低音に挟まれて
あっという間に消えてしまうのだから

理不尽なほどにわたしを愛してくれました。
ありがとう。母ののぞむ言葉が星空
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