小詩集・とどまる/岡部淳太郎
 

とどまる 1

ここに
とどまっていると
裁かれる

変化のない停滞に見えて
それは罪であると
見做される



とどまる 2

ここになんとか
とどまろうとする

すべての良き者は
ここから去ってしまったから

すべての記憶はここにあって
動こうとしないから

ここになんとか
とどまろうとする



とどまる 3

風が
とどまっている
水も
流れなくなっている

みんなここに集まって
ここでくつろいでいる
そうした風や水や鳥や雲を饗応して

それから
ゆっくりと風のように旅立つ


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