雨漏り/あらい
唄う
生きた雨粒を知った。今更 気づいた時に
水色のクレヨンで描く笑顔が素敵な
相合傘に移り変わる背中を押してゆく
斜陽のときに架かる虹を絡めたら
未来の端をそろそろ亘れると
運命を信じてみたけども
雨は止みそうで、病まないで、
このまま漂い続ける。春霞と酔いに奔る
流れ永されてこのまま
泥濘む満ちが現れる
川面に溢れる、大海まで、あと少しで
届きそうで、ぐるぐる、堕散る
わがこぶねは
澄んだ眺望に溺れてしまう
暈が増し続け、抉れた身を剥ぎ取り
渦に撒かれて終い。
らくにいきたいのに、ゆきたいのに
まだ、視界は澱んだ檻の中だ
地団駄踏んで固めた蓋は其処で
底にも鳴らない底なし沼で終の住処と致し
足掻いたところでどんづまり、
天に曝サラに開ける空木
どうせ皆々死んじまう
虹を移した水面の揺蕩う眼の奥でいい
ずぶのずぶ迄ずぶ濡れた あんたも私も濡れ鼠
助けも来ない樹海の奥で
どうせ出逢ったものですが
少し許りを悦んで 共に沈んで逝くとする
辞世の句、於戯
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