雨漏り/あらい
視線はとうに落ちかかる薄明の世、
方角を奪われた腕は 針を持つのを弛める
無論堕ち刺さるのは己の胸へ 濃淡の淵を
縫うように咽ぶ喘鳴が助長していたどころか、
赤銅に威ぶる陽の眼底から
あやふやな蟲共がわらわら這出るばかり
わたしと 活化す蜚?。
此奴らすら住処を喪うのでは 哀れであろう等と
のたうつ謀りに隅々 蝕まれて居る。
これを強いて好いて要るのだと ひたすら無心に浸る
とこしえの雨漏りは何処迄も溺れさせ
然し之を好いているからこそ、この場
音色は奏で響きを齎すのだと
空き巣はこともなく偽りを吐きだす。
その吐息は頑なに自室に閉ざされているが、
蓋は無
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