紙一重の余蘊/あらい
しかし最後に眺め観る青い海は明瞭であった
水平線の奥に点となる。岩場が光でチラついて
浮標であろうがやたら気にかかる揺蕩いなのだ。
不意にぐっとへこんだうねりから風の音が停るのは
首に鎖をまわした、ゴツゴツとした背を見せる、巌イワオ
あなたまでが陸続きであったと仄めかす性器を掬って
枕の隙間に置いた 愛の受け皿はけっして口にしないで
草原を走る狐憑きの夢は夜に拓いた月光花を不可もなく抉る
代われたなら幾ばくか泣き疲れて眠りを育くむ
(子守唄、瓶詰の遺書)
楽に陥れる。堕胎した/妹は/うみにかえり
(どうか、確かめねば)
寝息を途切れさすことも厭わずに
(あれはいく
[次のページ]
戻る 編 削 Point(0)