君は乗り捨てた自転車だ。/杏っ子
 
深夜のマクドナルド。真夜中の高速バスを待つ場所が見つからない。駅から離れたマクドナルドしかなかった。しかし、時間になってもタクシーがつかまらない。駅までの道は暗く長い、人気がない。さて私はどうしたか。鍵指したまんまの自転車で駅まで走り抜けた。そして交番の前にチャリ乗り捨てた。やばいよ。あんな自分のことしか考えない男とその後、1年も付き合ったのだから、本当に馬鹿。あまりに大切に思われていないことの象徴としてのピンチのダイナミズム。それなのになぜその関係にしがみつくのだ。将来なんて何もないのに。
お好み焼き屋で、それは難波大阪駅地下街のお好み焼き屋で、派遣の契約が切れると宣言した時から顔色が青ざめ、
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