透明標本/あらい
 
干上がった海に熟れた西瓜が割れ落ちるよな
愛や恋を編み込んでいく箱に然られた綺麗事
傲慢な遺体たちに接ぐ 太陽とハロゲン帽
空いたハマグリのブローチに被されば曇天
気持ち取り残した朝日の影を踏む
未知に希望の名を示しながら
僕は思い描いたまま、土壌に墨を塗った。

飛んでいたカモメは湿て、虹見た刻に走り去るときもある
かえりたい かえれない はなさないから、どきどきするの
行き場のない 此処を庭に仕立てて、息継ぎと支えられた

お互いに見つめるもの、愛の形を生む。
歪んだ虹彩は額に弾け斜陽の断片を昇り
かつての夜の背を馴染め上澄みの脂を舐め照らす
崩しゆく空は落ちやし
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