ああモザイク/万願寺
 
解法を開放するとの快方を介抱した会報は、たちまちきんいろの瞬火と等価に交換されて消えていってしまった。吹かれていたよ。誰よりも。あなたは恰好よかったよ。でもそれだけだった。そのしらせが持ち込まれた時も僕達はばかみたいにただあなたの恰好のよさに見とれていて、ろくに音も意味も受け取ろうとはしなかった。つまりそれだけでした。誰よりもあなたはそれだけで、それだけで生きていかなくてはならなくて、今思えば不幸な人だとわかるけれど、ただただスーパーなヒーローだと、子供たちは理解してしまった。そしてあなたの不幸はふりつもり、その開放がまさかあなた自身を解放するものだったとは知らず、僕達は手を叩いて紙吹雪のなかを走り回っていた。でもそれは、まるでそれは、完全にそれは、あなたへの侮辱でした。この世でゆいいつの存在であるあなたへの、憧れと見まがう程の、ただの盲目でした。盲目は、言いすぎかしら。でもほんとうに、視力が、極端に、あなたにだけ低かったこと、僕達は謝罪の方法も方向もしらず、いまだもって大人になることを拒むしかないのでした。
戻る   Point(1)