恋昇り10「雨の夜」/トビラ
 
る。
「私、気になることが何個かあるんだ」
「気になること……?」
山藍さんの言葉に、私は答える。
「うん。山藍さん、今は、星の視座でこのあたり全体を探れるんだよね」
「範囲を広くすると、細かい情報は拾えなくなるけど」
「それで、このあたりに妨害電波みたいなのはないんだよね?」
「うん。それらしいものは感じないかな」
「今から試したいことがあるんだけど、いい?」
「いいよ」
「ありがとう。じゃあ、まず星の視座をなるべく広く展開してもらえる?」
「うん、わかった」
山藍さんを中心に、十二個の星が部屋いっぱいに広がる。
「いいよ」
「うん。今の感じ覚えていて」
山藍さんは
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