金のすもも/愛心
 
りに森の奥に向かい、そのうちに、広い、深い青を湛える湖を見つけた。

若者が湖の周りをぐるりと一周すると、太陽が一番高いところに昇ってしまっていた。

あまりの広さに肩を落とし、膝をつくと、若者の目の前に大きな腹を抱えた魚が顔を出してきた。

若者の様子を不思議に思った魚が何があったのか尋ねると、若者はひとつめの願いのあらましを伝え、頭を抱えた。

魚はにんまりと笑うと、取引を持ちかけた。

貴方の口の中で一晩過ごさせてくれるなら、指輪を見つけてきてあげる、と。

若者は少しだけ躊躇ったが、了承した。

日が落ちる頃、若者はたっぷりと湖の水を口に含み、魚を受け入れた。
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