塒/あらい
 
潮風が茶褐色の末裔を引き連れ 未来に向かうと 、砂礫の街を売る映写機の うつろぎな花は知っていると。
 新しき思い出は腫れ上がり 陽光を求めるまま焼かれ、翅を?がれたジャノメチョウは火黙りの下で 死した後も鱗粉だけを踊り証アカす。開かずの扉は偶に 真珠色の光沢を世界にバラ蒔いて 皆を狂わせる曙光を見出すが それで我々は助かったのだろうか 身捨てられたのだろうか。
 未来の道は均衡を保ち なだらかに下っていくのは 命あるものの定めとして明るいもので、やむを得ない旋律に 釈然としないながら擬態する 逆さ吊りに咲いた なでしこの彼方すら 肥やしにするは 時の流れと申します。
 忘れ形身とも謂れ、天罰を下す 義理の兄様の身にも成る 反転した月の下で悪評を跨ぐ 黒々とした逸物の 侵される罠でも 囀りはただ静寂に 密か共鳴を狂わせ 刎音を残した せせらぎが停る これは刹那のこと 無影灯に照らされて散った命 、今に辿る。
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