光を食べてよ と 囁く螢烏賊(ほたるいか)/船曳秀隆
一
光を食べてよ
と 海に沈んだ
螢烏賊の僕は
云う
螢烏賊が
水を跨ぐ
海底の螢烏賊は
静かに光りはじめる
光が水で 薄暗くなる
それでも
僕の光は
周りの群へと
澄み切っていく
仰ぐと
僕より明るい 近くの螢烏賊
見下ろすと
僕より暗い 遠くの螢烏賊
群から
遠ざかりすぎないように
僕は
螢烏賊たちの光に
眼を開く
螢烏賊たちの光を
追想しながら
光をくぐる
薄い鰭で水を
掻き分けて
細い胴を
ストレッチして
腹から
水を湧き出しながら泳ぐんだ
袋状の体の
十本の腕で
フェイントする
その中の二
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