矢のように僕をつらぬけ、縄のように僕を結べ/竜門勇気
 

夕暮れの真っ赤な太陽が
窓をオレンジに色に染めている
何日か前にためたままの
水が詰まった湯船に泡立った垢が浮かんでいる
歪んだプラスチックのつまみをひねる
浴室を出る
浴室にある空気を吐き出す
まるでかつてそうだったように透明に

もう思い出せないくらい昔
どこかで摘んできた雑草
カラスノエンドウ
食えないほど古くもなくて
美味しいなんて思えないほどは時間が経ってる
真っ黒に焦げ付いた鍋に
ちぎりながら落とす
僕が死んでいくことに理由はない
でもさ、お前のせいだよきっとな

夕暮れがまだ赤いうちに
濁った湯船に望んで沈むんだ
帰り道の浮かれて気分で
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