夏が来る前に/Lucy
街路樹の根元に
延々と連なるラベンダー
夏になったら咲くのだろう
この街に 夏が来るのなら
誰と誰が生きのびて
新しい詩を書くだろう
マスクをつけて歩いていると
先生が電話してきた
元気か、いやどこにも行くところなくてよぅ
まいってる
寂しくて懐かしくて
おまえの声が聞きたくてなぁ
五月になったら飲み会かねて食事に行かないか?
三年前に娘さんを亡くし
奥様は以来病がちという噂
俺は元気だどこも悪くない夜毎薄野で飲み歩いていると
クラス会で豪語していた
昔ながらのハイテンションがどこか不自然で
先生は私を誰と間違えているのだろう
重いので
電
[次のページ]
戻る 編 削 Point(7)