壊疽した旅行者 ニ/ただのみきや
 
並木の下の
乾いたアスファルト
飛んだり跳ねたり転げたり
風と一緒にはしゃぎ回り
擦れて砕けて塵へと変わる

馬鹿みたいだろう
死にそこないが一人踊っている
だけどもう素直に誘われるまま
自分にしか見えない手を取って
なんのしがらみもなく
軽やかにステップして
舞い上がってスピーンターン
世界が眩暈を起こしている

生まれる前から持っていた秘密
今年生まれる若葉だって来年には
悟ったように笑っているだろう




小さな花束

人任せにできず何かと先回りして口を出し
せっかちだから自分で動いて片付けてしまう
「頼れる人」「面倒見の良い人」と
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