ナイトの忠義/
幽霊
遠いどこかの占い師が引いたタロットカードの審判を、いたずら好きの風がさらっていった。
おもむろに彼は彼女の義眼にキスをした。
開け放たれた窓からいたずら好きの風が迷いこんできて彼女の細い髪をおどかした。
二人は黒いカーテンにくるまれてずっとそのままだ。
二人の足元にあるラジオは独りでに周波数を変えて、今朝も神に跪いて忠義を示したシンガーの屈託のない歌声を流した。
戻る
編
削
Point
(1)