白い炎/
為平 澪
燻る焔をあげ
小さな骨が何度も折られる音が続き
やがて火は燃え広がっていく
いつか燃やしてしまわなければ…、と
自分に言い聞かせるように母が呟いた後、
あっという間に燃えてしまうものですね、
街から来たという男が古い家を背にして
正直に言う
玄関に注連縄のついたお飾りを吊るすと
そこから
母が入り、娘が入り、猫が入る
今年が無事だったことなど気にも留めず
暮れた寒村には消防団の夜回りの鐘が
夜の中で鳴り渡る
戻る
編
削
Point
(3)