白い炎/為平 澪
 
燻る焔をあげ
小さな骨が何度も折られる音が続き
やがて火は燃え広がっていく

いつか燃やしてしまわなければ…、と
自分に言い聞かせるように母が呟いた後、
あっという間に燃えてしまうものですね、
街から来たという男が古い家を背にして
正直に言う

玄関に注連縄のついたお飾りを吊るすと
そこから
母が入り、娘が入り、猫が入る

今年が無事だったことなど気にも留めず
暮れた寒村には消防団の夜回りの鐘が
夜の中で鳴り渡る

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