窓辺の少女/moote
 
道端を見ながら歩いてると
色んなものが落ちていて
一つ一つのものが
無価値な雰囲気を漂わせている
丸い形の何かの部品を手に取り
少女はポケットに入れた

私は物かもしれない
机の上の本や引き出しの中の文房具は
何も語らない
これらに私は愛情を感じた
物である私と物の一体化

人や自然や動物が
息を吹き込んだ霊的な動く物体に見える
それに比べて物は静かだ
この静けさしか私を理解してくれるものはいない

私は生き物を感じる物はなるべくさける
顔のない身体のない物がいい
私は物なのである
来世は物に生まれたいなどと思う

外の建物の静けさを味わう為に
少女は窓をいとおしいという人間的な感情を抑えながら
いとおしそうに撫でながら窓辺に立つ
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