とてもふつうのありきたりな/万願寺
いつものように笑うことを諦めたままで
きみはちょっと怖くもみえる
顔をしているけど
ぼくにだけ
わかってしまうよ
恋だ
きみの恋は困難で
いいかえればとても時間と手間と苦労をきみに
課すのだろ
でもきみは
まだ恋を
恋にさえ
焦点をぼやけさせているみたいだけど
ぼくにだけ
わかってしまったよ
たいへんな
ことをきみは
今いきなり知ってしまったんだね
世界にこんなにも暑く汗をかき冷たく足先が冷えることが
あること
いつものすこし不機嫌みたいな顔で
どうしても欲しいものが
できてしまったようだね
応援してあげたいけれど
君の困難をおもうと
どうもなかなかふんぎれない
やはりぼくは
きみに最短最速で最高の
唯一の愛を
手に入れてさっさとしあわせになってほしいんだ
それはぼくが
安心するためだけに
願う、ほら、なんだっけ
エゴだよ
きみへの愛はもちろんぼくのわがままで
それでも愛と言っていいんだから
この世はまったく
やさしいよね
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