夜の音/佐藤伊織
 
音のない夜の声を聞いた

ぼくは密集して逃げようとしている影達のコートの揺れを聞いた

揺れる影の音はぼやけて拡散するので

ぼくはそれでは密集した意味がないと思いながら拡散していく

音のない夜の音は

こうして耳を塞ぐことができない


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