メモ/はるな
また泣き、そんなら自分で捨てるまでしっかり持ってなさいとわたしが諭すとまた嗚咽する。こんなのほんとにだいじなのにすてるよ。
と言うむすめの心持ちが、わたしにはよくわかる。そうして、夫には心底理解できないのらしいだった。
このところむすめのつく嘘はいろいろになってきた。わたあめみたいに大きくてぼんわりしたのから、つめたい石みたいにかたくて小さいのまである。たあいないのは可愛くて、かんたんに怒ることもできる。
かなしいのはいつも小さくて、どうしていいのかわからない。目をみないでつく嘘によってつもってく砂利みたいな心地悪さ、どうやったら洗えるだろう。
貝が砂を吐くために必要なうすい暗やみ、明るいだけで育てると花をつけない球根やさぼてんたち。
結局家まで持ち帰った傘の風船、泣き止んだむすめに、うすいカルピスを与える。
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