かみさまについての多くを知らない/望月 ゆき
1.
かみさまは、どこですか。
2.
かみさまは、どこですか。
道すがらたずねると
あっち、と指をさした人がいたので
ひたすら あっち、に向かって歩いた
歩いて歩いて歩いて
いつしかわたしは
いくつもの境界線を越えて
世界にたどりついた
たどりついた世界に、かみさまはいた
あっち、と指をさしたその人が笑っていた
3.
かみさま、お願い。
少女は窓辺で手をあわせる
夜空に星があっても
なくても
その夜も
隣の部屋で女は
おまじないの呪文をとなえながら
少女の頃から
何度もかみさまに裏切られていることを
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