かみさまについての多くを知らない/望月 ゆき
 
1.

かみさまは、どこですか。



2.

かみさまは、どこですか。

道すがらたずねると
あっち、と指をさした人がいたので
ひたすら あっち、に向かって歩いた
歩いて歩いて歩いて
いつしかわたしは
いくつもの境界線を越えて
世界にたどりついた

たどりついた世界に、かみさまはいた
あっち、と指をさしたその人が笑っていた



3.

かみさま、お願い。

少女は窓辺で手をあわせる
夜空に星があっても
なくても

その夜も
隣の部屋で女は
おまじないの呪文をとなえながら
少女の頃から
何度もかみさまに裏切られていることを

[次のページ]
戻る   Point(43)