電脳の世界から広がる世界/千幸
自分は本当の地獄を知らないけど
あそこは少なくともあの頃の自分にとって地獄だった
生き地獄だった
あそこから飛び出して自由になりたいと夢見て
それが本当の自由かはあの頃の自分には分からなかったけど
少なくともあそこで一生、終えるのは嫌だった
誰かに届けばいい、なんて思わなかった
とりあえず胸の引き出しに閉じ込めざるおえなかった感情を
吐き出したかった
あぁ、だけど誰かに自分の存在を知ってほしい思いはあって
だから蜘蛛の巣のように広がる電脳の世界へ
時間は掛かったけど自由を手に入れた
それが本当の自由なのか分からないけれど少なくとも自分は
自由を手に入れた
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