pinhole fish/むぎのようこ
凍りながらかけてゆく
つま先の音が
まぶたの裏でひかっている
薄むらさきの血液が花を
さかせていた
降ってはかえる雪の
野は
斑にはるをくちずさみ
ついになった色から透けてゆく
したさきの
渇きに火をともしては
片端から
星になって膨らんでは
しろく、浮かんだ
瞬きをなんどもゆすいで
さくら色をした体液が
滑滑と、
うすまっては足元を通りすぎて
いって
囲うように眩しくしのばせた
綻びも、はれて
地のいろにとけては
むすばれてしまうからしろく
そまっていたかった
音、
だけが
こだましたさかさまの夜が
ひとみの
底を、游いでいる
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