わらしべのかげ/帆場蔵人
 
遊べや遊べ   わらしべ一本
わらしべ一本   遊べや遊べ
遊びをせむとや生まれけむ
誰もが一本のわらしべ握り
明日は長者か乞食ぼうずか
種もみの実りを待たずさり 
中洲で噛みあう野犬の群に
案山子の眼がひとつ落ちた
わらしべ一本   手放すならば
その手はなんでもつかめるぞ
なんでもつかみなんでも育て
なんでも手放し空でもつかむ
遊べや遊べ   夕陽にのびた
その影こそがわらしべ一本
わらしべ一本   遊べや遊べ
明日は長者か乞食ぼうずか
楽しや愉し   烏が阿呆と鳴いたなら
童に戻り遊びをせむとや生まれけむ
戻る 編 削 Point(4)