ボールの心/服部 剛
 
悠々と 悠々と
川面に浮かぶ
ひとつのボールが流れてくる

何も惑わず 煩(わずら)わず
橋を潜り 
今日から明日の方角へ流れゆく

あのように
川の流れのなかを
ゆきたいなぁ

ちょっと風が吹くと
ふらり、ぐらり 
覚束ない歩行の僕だけど
願わくば 

悠々と 悠々と
この世の大きな 空の下
時の流れにゆだねゆく
あのボール

いつも浮かんでいるように
僕の心の只中(ただなか)に  





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