静寂という名の暴力に支配される凶暴な冬は嫌いではない/草野大悟2
 
 ここに来るようになってもう何年が過ぎただろう。何年? いいや、何十年、何百年という時が経っているかもしれない。深い眠りから覚めたとき、俺はすでにここにいた。それは確かだ、と思うし、みんながそう口をそろえる。そういえば、このあたりの景色をずっと前に見たような気もする。それどころか、一年という時の流れの中で移り変わる季節ごとの風景も知っている…かもしれない。

 ………春は…、そうだ、あたり一面に広がる田んぼに水が張られ、稲が植えられるのだ。田植えだ。田植機が忙しく田んぼを往復し、ぽやぽやした苗を植え付けていく様を俺は知っている。そこで交わした、天気が良くてよかったですね。ああ、ほんとに。といっ
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