トウモロコシの覚悟/ブルース瀬戸内
隠さず言ってしまえば
食べられたくないからです
じゃ僕が祭りに行きますね
孫弟子モロコシが言うので
そんなことをされたならば
誰が僕を養うのかと思って
いやいやそれなら僕が行く
いやいや師匠が出るなんて
いやいやそこは僕が行くよ
いやいや師匠は怖がりだし
いや別に何も怖くないから
何も怖くない自分が怖いよ
じゃあ師匠がどうぞどうぞ
モロコシ畑の夕焼けと風が
粒に沁みます心に沁みます
じゃあ師匠がどうぞどうぞ
孫弟子の言葉を反芻します
祭囃子が聞こえてきました
やっぱ次の祭にしようかな
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