ひとつ つまびく/木立 悟
 




わたしの先を歩むかたち
わたしのかたちの穴を飛び越え
ふたつの機械の音は重なり
小さく小さく泳ぎはじめる


蜘蛛の巣と栗鼠
やわらかな時間を
ゆうるりと降りる
冬が冬であるうちに


ふたつの前衛劇の合間に
ふたつの輝く海があった
輝きをついばむ鳥があり
輝きを埋める鳥があった


木の爪は割れ 割れつづけ
火の夜径 ただ咬みしめて
砕けた針 よみがえり
短い夢を縫い合わせる


わたしのなかのけだものの笛
闇の闇化を止めることなく
まわり なぞり
こすりつづける




たくさんの演奏家を集めて
何日もかけて録音
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