住宅地/タオル
 
 
あらしが去ると
いびつな たくさんの傷ものが
辺りいちめん埋めつくすから
さきに ゴミを散りばめておいたのだ、として
誰も彼女を責めたりできないと
今日もぼんやりしたかおのRさんは言う
絶対絶対誰も悪くないって
そう言ってずんずん住宅地の奥へ進んでいく
すべてのいえに老人あるいは引きこもりの青年たちが潜み、
玄関の隠しカメラで我々の動向を見つめているとして
それは覗き見ている当人たちが悪いわけでも
ましてやわたしやあなたが悪いわけでも
ない
なぜなら
ここにいるのは幻想にこころ奪われた民なのだ
テレビにかねを払い 正しくない情報にもかねを払い
やはり幻想にここ
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