届けよ、跋文/万願寺
雪のことを知っていますか。「誤解しないでくれ」と言っていた海賊とは無事に地獄で会えましたか。こちらはもうすぐふぶきです。海に降る雪が紙吹雪のようなのと、あなたは言っていましたね。紅白の小林幸子をいつも思い出していた。本当は幸子の時にそんなに紙吹雪が降るのかなど知らないけれど、そして海に降る雪も見た事がないけれど、あなたが言うから私はいつも12月31日のこたつの上のみかんの、撥ねた汁を拭いていた。もうすぐ終わりなんだよね。もうすぐ始まりなんだよね。始まったから終わるのは当然。でも終わりの後にはじまりがくるのはなぜかしら?それは願い。多くの人の願いが形になっているだけ。始まりなんてもう来ないのよ。つづきがあるだけ、おわらないだけ、はじまれないからめをつぶる。その瞬間に明けまして、お目が出るからおめでたい。ずうっと間違えて、天国宛てに送ってしまっていました。あなたはとっくにこちらに帰っていたのにね。帰ったり、出ていったり、忙しい人柄だからか、手紙を書くのもわたしは速くなりました。いつか褒めてね。ちがう銀河で、すれちがったら合図をするよ。ね、紙吹雪なんて降らない世界で、今度はほんとに始めよう。
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