ハシッシュの森。/
かのこ
何も無いこの毎日に
今もときどきランドルのことを
思い出す。
ランドルの描いた
あの冷たい森のことを。
堅固すぎるビルとビルの間で
わたし、記号に埋もれて
貴方を待っていた。
陶酔して
腐った女の最期の声
深い森の奥で
何も知りはしなかった。
曲がりくねった樹と樹の間で
あの子、言葉に埋もれて
雨を待っていた。
「まだ届かない。」
ランドル、あかい声で
撃ち殺して。
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