一年間/葉leaf
 
命より重いもの、愛より深いもの、死より絶望的なものを多孔質の部屋へと注ぎ込み、漂う生の圏域からはぐれて二人影を重ねる。生活は表層において美しく、淵において数限りない汚濁する流れと交わっている。おはようという言葉に先立って相手の息遣いを細やかに聴きとり、たくさんの弧を描くようにまなざしを投げかけ合って一日が始まる。歩き、走り、自動車に乗り、電車に乗り、バスに乗り、地理の絵巻物を手繰りながら異なるこの世の界面へと至り、風景の欠落に自らの欠落を重ねる。二人の間で沈黙は不可能、人間の言葉が沈黙していようと肉体の拍動同士が細やかに交信することを決してやめない。互いに互いのページをめくり、終わりのないそれぞれ
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