六花/むぎのようこ
 


花はあめ、さめざめと底で
咲くからよるに鳴く
あわい、
輪郭をなめてとかす
ふぶいても
ふぶいてもひらく花
拐かされた
まひるの疑いようのないしろさが
しんしんと積もる


ただしさが、
うわすべる舌の
うえで転がしてちらちらと
降るのは
もう、花とも雪ともつかなくて
着膨れした膚を
さぐるようになぞる手と、その
ぬかるみが

粟立つ

うたかたに咲いても
とがめがなくて
、つま先立ちで飛び立つみたく
散ってしまえるから
うつくしいといつも囁くのに花の
名前をわすれたから、香り
だけがあざやかに瞼を焼いて
ひかりに現像されている







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