過去になる/中山 マキ
 






わたしの愛が過去になる
忘れるつもりがなくても忘れていく
あの声も、温もりも、
あなたが好んで使っていた物たちは
新しく生まれることはない
捨ててしまえば、ただ消えてなくなるだけの存在になった
思い出と暮らしても、冷たい床に座るだけ
減りはしない写真は、増える事もない

何の前触れもなく
新しい色が塗られて
わたしが別人になっていく
しん と静まり返る部屋
振り返る
耳をどれだけ澄ましてみても
この家にあなたとわたしがいた事実に
置いて行かれてしまう









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